ラインスキャンレンズの選定:イメージサークル・倍率・マウント

ラインスキャン撮像は、マシンビジョンの中でも最も許容度が小さい分野です。16Kカメラはφ82mmのイメージサークルを必要とし、露光中もウェブは動き続けます。カタログ上は完璧に見えるレンズでも、周辺で30%のコントラストを失うことがあります。本稿では、ラインスキャンレンズが装置上で機能するかを実際に左右する4つの数値と、お見積り依頼で最も多く見かける3つの誤りを解説します。

1. 焦点距離ではなくセンサーから始める

ラインスキャンセンサーは画素数と画素ピッチで規定され、この2つの数値が必要なイメージサークルを決定します:

センサーサイズ画素ピッチ有効幅必要イメージサークル
2K7µm / 10µm14.3 / 20.5 mmφ30 mm クラス
4K7µm28.7 mmφ32 mm
8K5µm40.0 mmφ46 mm
8K7µm56.0 mmφ62 mm
16K5µm81.9 mmφ82–φ90 mm

経験則:大きいイメージサークルは常に下位互換で使えます。8K7µm対応レンズ(φ62mm)は4Kカメラもカバーしますが、逆ではけられが発生します。18か月後にカメラを更新する予定があるなら、今必要なサークルではなく、その時点で必要になるサークルを選んでください。

2. 倍率はウェブ幅から決まる

倍率 = センサー有効幅 ÷ 走査幅

例:8K5µmカメラ(有効幅40mm)で幅400mmのリチウム電極を検査 → 40 ÷ 400 = 0.1X。同じカメラで幅1200mmのガラス板 → 0.033X。どちらも正しく、単に異なるファミリーに属するというだけです。

弊社のLSファミリーは補正対象の倍率帯で区分されています。おおむね広幅ウェブ・大判用途が0.01X〜0.1X、一般的なウェブ検査が0.2X〜0.5X、高解像の小型部品走査が0.7X〜3Xです。補正帯域を外れた選定は、「周辺が甘い」というクレームの最も多い原因です。

3. 作動距離は光学的条件ではなく機械的制約である

CLARIOPTICSのLSデータシートには3つの距離が記載されています。中心作動距離、規定MTFが保証されるWD範囲、そして物体・像面間(O/I)共役距離です。装置設計者は習慣的に最初の数値だけを使い、3番目を見落としがちです。その結果、カメラ本体がフレームと干渉することが判明します。

レイアウトを確定する前に、必ずO/Iと治具の占有範囲を照合してください。共役距離が長すぎる場合の定石は、機械設計を変更することではなく、同一倍率のまま焦点距離を短くすることです。

4. マウント・フランジバック・回転調整

M42とM58は4K・8K構成の大部分をカバーし、M72・M90・M95は大判16Kおよび高倍率鏡筒に採用されます。Fマウントは一部の8Kおよび1億画素構成に残っています。ねじ規格以外に、購入者が見落としがちな2点を確認してください:

  • フランジバック距離 — レンズはカメラのセンサー面に合焦できなければなりません。アダプタは存在しますが、公差の積み上げが増えます。
  • 回転・位相調整機構 — ラインスキャンカメラでは、センサーの画素列をレンズの最鋭軸と平行にする必要があります。回転調整機構付きマウントなら、2時間のアライメント作業が10分で済みます。

お見積り依頼でよく見かける3つの誤り

誤り1 — 視野より先に焦点距離を指定する

「60mmのラインスキャンレンズが欲しい」は要求仕様ではなく、推測です。センサー、走査幅、確保できるWDをお知らせいただければ、焦点距離は計算で導かれます。

誤り2 — 照明レイアウトを無視する

同軸照明やライン照明の構成は実効F値を変え、レンズでは解決できない鏡面アーティファクトを生じることがあります。照明方式をお知らせいただければ、装置を組む前に注意点をご指摘します。

誤り3 — ウェブのばたつきに対する余裕がない

ウェブが垂直方向に±2mm動くなら、必要なのは解像力だけでなく被写界深度です。通常は絞りを1段絞って減光を許容するか、より高出力のライン照明に変更して作動距離を長く取ることで対応します。

選定提案をご依頼ください

カメラ機種、走査幅、作動距離の許容範囲をお送りください。弊社エンジニアが推奨機種、倍率、WD範囲、マウント、照明に関する注意点をまとめた完全な提案書を1営業日以内にご返信します。こちらから依頼する → または レンズ選定ツールでご自身で計算することもできます。