マシンビジョンレンズの選び方

レンズ選定は、基本的には「絞り込み」の作業です。焦点距離・絞り・イメージサークル・マウントの数百通りの組み合わせのうち、実際にカメラ・視野・装置に適合するのはわずか数機種にすぎません。本稿では、カタログにも掲載している、弊社の選定エンジニアが実際に用いる4ステップの手順を解説します。

ステップ1 — イメージサークルをセンサーに合わせる

レンズは円形の像を投影します。センサーはその内側に収まらなければなりません。2/3″レンズ(イメージサークルø11mm)は2/3″・1/2″・1/1.8″センサーをカバーし、1.1″ 2000万画素レンズは1.1″・1″・2/3″・1/2″をカバーします。逆に、小判レンズを大型センサーに組み合わせると、四隅が暗くけられます。

ラインスキャンカメラでは画素構成から検討します。4K×7µm はφ32mm、8K5µm はφ46mm、8K7µm はφ62mm、16K5µm はφ82〜φ90mm のイメージサークルが必要です。弊社のLSシリーズはまさにこの区分で構成されており、大判のラインスキャンレンズはより小さなセンサーにも流用できます。

ステップ2 — 倍率を計算する

倍率 = センサー幅 ÷ 視野(FOV)

例:有効幅14.1mmのIMXセンサーで幅56mmのワークを撮像する場合、14.1 ÷ 56 = 0.25X となります。ラインスキャンでは、センサー幅 = 水平画素数 × 画素ピッチ です(8K7µmカメラの場合:8000 × 0.007mm = 56mm)。

倍率が決まれば、それを基準にファミリーを絞り込めます。汎用撮像にはFA単焦点レンズ、短い作動距離で0.1X〜0.8Xを得るにはMCマクロレンズ、そしてLSラインスキャンレンズはファミリーにより0.01X〜3Xをカバーします。

ステップ3 — 作動距離を設定する

倍率だけでは幾何条件は決まりません。同じ0.25Xでも、焦点距離が異なればWD150mmでも800mmでも実現できます。確保できる機械的スペースと、倍率/WD範囲表を照合してください。弊社のラインスキャン一覧表には全機種の中心WD・倍率範囲・WD範囲が記載され、データシートには物体・像面間距離(共役距離)も収録されています。

最短作動距離にも注意が必要です。コネクタピンやスプリングなどのマクロ撮像はMCシリーズが最も力を発揮する領域で、作動距離59mmから対応し、ディストーションは0.07%未満です。

ステップ4 — マウントと機械条件を確定する

フランジバックの適合性とクリアランスを確認します。多くのエリアカメラはCマウント、ラインスキャンはM42 / M58 / M72、大判16KはM90 / M95、一部の8Kおよび1億画素構成はFマウントです。鏡筒径とフィルターねじが照明・治具設計と干渉しないかも確認してください。弊社の3D CADモデル(STP / IGS)を使えば、お手持ちの機械CADで5分で検証できます。

番外編 — 型番の読み方

ラインスキャン:LSシリーズ

LS2540A-0.24X → LS = ラインスキャン · 25 = 焦点距離25mm · 40 = 開放F値4.0 · 0.24X = 中心倍率。

単焦点・マクロ:FA / MCシリーズ

FA1220A → 焦点距離12mm、1.1″対応。MC5010A → 1.1″対応マクロ、50mm。末尾のアルファベットは機械構成のリビジョンを、末尾の「D」は大口径版または改良版を示します。

フルサイズ:LDシリーズ

LD5028-100MP → 50mm、F2.8、画素ピッチ3.1µmの1億画素クラス。

計算例

課題:幅40mmの電池キャップを、2000万画素1.1″カメラで作動距離約150mmから検査する。

  • センサー1.1″ → 1.1″に対応するレンズが必要 → 1.1″ 2000万画素対応のFAまたはMCシリーズ。
  • 倍率 = 14.1 ÷ 40 ≈ 0.35X → マクロ領域 → MC3510A(0.35〜0.7X、WD 59mm、ディストーション0.05%未満)が完全に適合。
  • マウント:Cマウント。リング照明ブラケット用のフィルターねじはM40.5×P0.5。

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